
MDGsとは?
もともとは、SDGsの前身としてMDGsというものがありました。
MDGsは「Millennium Development Goals」の頭文字を取ったもので、
日本語では「ミレニアム開発目標」という意味になります。
MDGsは、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで、
189の参加国によって採択されました。
MDGsは主に新興国や発展途上国を対象とした目標で、
先進国が主導となって定められたものです。
2015年までに達成すべき目標として、
8つの目標と、21のターゲットが設定されました。
MDGsはなぜ採択されたのか
MDGsは1990年代に顕在化した、
地球が抱える深刻な問題を解決するために採択されました。
解決すべき課題は、
- 飢餓・貧困問題
- 男女格差
- エイズなどの感染症の蔓延
- 子どもの教育機会
といったものです。
特に、経済、医療、教育などの分野では、
先進国と発展途上国の格差が大きく、格差の是正も課題となりました。
これらの課題を解決すべく、次のような目標が設定されました。
MDGsの8つの目標
- 極度の貧困と飢餓の撲滅
- 普遍的な初等教育の達成
- ジェンダー平等の推進と女性の地位向上
- 乳幼児死亡率の引き下げ
- 妊産婦の健康状態の改善
- HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
- 環境の持続可能性の確保
- 開発のためのグローバル・パートナーシップの構築
MDGsは達成されたか?
1 .極度の貧困と飢餓の撲滅
成果:極度の貧困に苦しむ人は半数以下に減少し、目標を達成
2 .普遍的な初等教育の達成
成果:途上国の初等教育の就学率は80%→91%に向上
しかし、女子の就学率に関しては依然として低位であることが課題として残った。

3 .ジェンダー平等の推進と女性の地位向上
成果:途上国の3分の2以上で初等教育の教育男女格差が解消。
しかし、サハラ以南のアフリカ諸国では解消されていない。
4 .乳幼児死亡率の引き下げ
成果:5歳未満死亡数は53%減少。
しかし、5歳未満児死亡数の半数がサハラ以南のアフリカ諸国となる。
5 .妊産婦の健康状態の改善
成果:10万人あたりの死亡数を、
380人→95人に低減することを目標としていたが、
210人に留まった。
6 .HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
成果:HIVの新たな感染者は、350万人(推定)→210万人に減少。
しかし、新規感染者の3分の2は女性という課題が残る。
7 .環境の持続可能性の確保
成果:安全な飲料水を確保できる人の割合は、70%→91%に。
また、新たに21億人が衛生設備(トイレ)を使えるようになった。

8.開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
成果:インターネット普及率が6%→43%に上昇。
しかし、先進国と途上国間で普及率に格差がある。
▶︎MDGsのまとめと、SDGs
ここまで見てきた通り、MDGsは全体的に成果は上がりましたが、
数値を達成できなかった目標があることと、
サハラ以南アフリカの遅れが浮き彫りとなりました。
また、MDGsは先進国が主導となって定められたもので、
先進国は資金と技術の援助をするだけであり、
途上国の意向が反映されていなかったという問題もあります。
さらにMDGsは発展途上国向けだったこともあり、
民間企業を巻き込むような施策ができませんでした。
これらのMDGsの反省点を踏まえてSDGsへ引き継がれるとともに、
SDGsでは経済や産業、そしてまちづくりといった、
豊かさの追求などの項目が新たに目標として追加されました。
SDGsでは政府のみならず、民間企業の連携無しには進められません。
SDGsの理念である「誰ひとり取り残さない」ために、
1人1人の行動はもちろんですが、
経済を牽引する企業の力は重要となっています。
SDGsの前身、MDGsについて解説しました。
「なぜSDGsは生まれたのか?」を知ることで、
これから学習するSDGsについてより理解が深まります。
それにしても、なぜSDGsがこれほどまでに注目されるのでしょうか。
次のレッスンでは、私たちがSDGsに取り組むべき理由について考えていきましょう。

