
経営へ統合する
SDG Compass ステップ4
前回のレッスンで、目標を設定するところまで学習しました。
ステップ4では目標を経営へ統合していきます。
目標を設定しただけでは、
社員はどのように動けばよいかわかりません。
そのため、このステップでは経営幹部のリーダーシップが特に重要です。
経営幹部は、以下の点について行動を取りましょう。
目標を企業に定着させる
ステップ1でも行いましたが、
SDGsを事業として取り組む根拠やメリットを社員に明確に伝え、
SDGsへの対応が企業の価値を創造することを全社員に理解してもいましょう。
多くの社員がSDGsへの取り組みをしっかり理解することが、
定着への近道となります。
また、部門・個人の役割を反映した報酬体系を新たに設けるなど、
社内制度を整え、各社員がSDGsに取り組みやすい環境をつくります。
こうした取り組みにおいては、やはり経営幹部の行動が重要です。
経営層がSDGsへの取り組みに対して積極的に関与して評価を高めれば、
社員のモチベーションも自ずと高まっていくでしょう。
各部門に目標を組み込んでいく
目標によっては、各部門の重要度にばらつきが出るのは当然かもしれません。
例えば、雇用の多様性といった目標は、
特に人事部には重要な目標となりますし、
実際に人事部が主体的に取り組んだほうが成功する可能性が高くなります。
それでも、目標との関連が低い部門も当事者意識が持てるように、
各部門から担当者を選出して部門横断的な委員会を設置するなど、
全部門に目標を組み込んでいくことが重要です。
具体的には、目標は次のような手順で組み込んでいきましょう。
- 目標を分解し、各部門に振り分けを行う。
- 各部門で目標に対する具体的な対策を取る。
以下の資料は、SDG Compassのホームページに掲載されている
目標組み込みのプロセス実例です。
参考にしてみましょう。

取り組みのマネジメント
SDGs実践では、
担当者を選任して取り組みのマネジメントをするようにしましょう。
担当者の業務範囲は、形骸化しないようにするためにも、
明確に設定し、業務権限を与えておく必要があります。
例えば、
- 取り組みが埋もれてしまわないように、
SDGs推進の進捗状況をチェックし社内外に情報発信すること。 - 社外のSDGs、ESG問題の情報収集&分析をし、
評価できる部分を自社内でも実践する。
といった業務があります。
パートナーシップに取り組む
企業がSDGsに取り組むことは避けられないことですが、
まずは社内で実践をスタートすることが第一歩です。
しかし、SDGsの取り組みを進めているうちに、
企業単独では限界を感じる時が来るでしょう。
実際、企業単独で効果を出すのは難しい面があり、
多くの経営者もそう感じているようです。
そのような段階にきたら、
ゴール17で「パートナーシップで目標を達成しよう」とあるように、
力を合わせて目標を達成していくことが必要になります。

SDG Compassでは、
協働には次の3つのパートナーシップを検討するように伝えていますので、
ここで紹介しておきます。
バリューチェーン・パートナーシップ
バリューチェーン・パートナーシップは、
バリューチェーン内の企業がお互いに技術や資源を出し合い、
新たな解決策を見つけることです。
セクター別イニシアチブ
これは業界全体の習慣を見直したり、
共通の課題を解決するために、
業界のリーダーが協力し合うことです。
多様なステークホルダーによるパートナーシップ
民間企業だけではなく、行政や市民も協力して、
さまざまな課題に取り組んでいくことです。
パートナーが目指すべきこととして、
共通目標の設定や、
それぞれのコア・コンピタンス(※)の活用などが推奨されています。
※コア・コンピタンス:
他社よりも優れた能力。
他社が真似することができない、企業の中核となる能力のこと。
パートナーシップについては、注意が一点あります。
パートナーシップへの取り組みは、
まずはスモールスタートから始めましょう。
例えば規模の小さな目標から始める、
1社または1団体とのパートナーシップから始めるなどです。
成功体験を少しずつ積み重ねてから、
徐々にパートナーシップを大きくしていくと良いでしょう。
経営への統合の仕方について解説してきました。
このステップでは、
特に経営幹部の最初の舵取りが重要なことがわかりましたね。
社員一丸となってSDGsに取り組むためにも、
全社員が実践の重要性を理解し、
取り組みやすい環境をつくることが成功へのポイントです。

