Lesson3-1 日常の中のSDGs

持続可能な生活のために私たちができること

SDGsは政府や企業だけが実践するものではなく、
私たち個人や、家族だけでも取り組めることがたくさんあります。

Lesson3では、
日常生活の中で取り組める活動にはどのようなものがあるか、
学習していきましょう。

カーボンフットプリントを意識する

「カーボンフットプリント」とは、
製品やサービスの一生(原材料調達〜廃棄まで)の間に

排出される温室効果ガスの排出量を、
二酸化炭素に換算して表示する指標です。

カーボンフットプリントを商品やサービスに明記することで、
企業は温室効果ガスの把握と、さらなる削減を目指せます。

一方、消費者には、自分が使う商品やサービスがどれぐらいの
環境負荷があるのかを自覚してもらうことができ、
より低炭素な消費に移行することを促せます。

例えば、食品のカーボンフットプリントを考えてみましょう。

肉と野菜はどちらのカーボンフットプリントが高いと思いますか?

答えは「肉」です。

同じ肉や野菜でも、
地元産や旬のものはカーボンフットプリントは低くなります。

食生活で温室効果ガスを減らすなら、
肉は少なめに消費し、もしも買うなら地元産でオーガニックのものを
選ぶと良いでしょう。

野菜や果物も、一年中いつでも買えるものは避け、
地元産の旬のものを選びます。

サスティナブルな製品を選ぶ

サスティナブル(持続可能)な製品とはどのようなものでしょうか。

上で学んだカーボンフットプリントの低い食品も、
サスティナブルと言えます。

私たちの生活では、何も考えずに消費していると、
知らず知らずのうちに環境破壊をしてしまっていることがあります。

その1つに「パーム油」があります。

パーム油は、世界で一番多く使われている植物油であることを知っていますか。

日本でも実はさまざまな製品に使われています。

例えば食品ではポテトチップス、菓子類、揚げ物、加工食品などの食品や、
洗濯・食器洗剤、シャンプーといった日用品などです。

食品ラベルに「植物油」「ショートニング」「マーガリン」
などと記載されているものは、パーム油なのです。

見てみると本当に多くの食品に使われていることがわかりますね。

これだけ私たちの日常生活で使われていますが、
残念なことに、パーム油の生産はさまざまな環境破壊を引き起こしています。

パーム油はアブラヤシの実からできますが、
アブヤラシは主にインドネシアやマレーシアで栽培されています。

これらの国には元々、熱帯雨林が豊かで、
さまざまな動植物が住んでいました。

しかし人間は、アブラヤシの生産のために木を伐採して、
アブラヤシ農園にしてきました。

この行為は気候変動も引き起こしますし、
またそこに住んでいる動物の住処を奪い取ってしまい、
生物の多様性も失われてしまいます。

これでは持続不可能です。

そこで、この問題に向き合う活動が始まっています。

持続可能なパーム油を生産するために、
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)という
国際的組織が発足しました。

RSPOには、アブラヤシ生産者、油を加工する企業、
小売業、NGOなど、パーム油を生産・利用するさまざまな団体がメンバーとして参加し、
持続可能なパーム油の生産と消費を促しています。

パーム油が使われた商品を買う時は、
RSPO認証のマークがついたものから選ぶと良いでしょう。

ファストファッションの影響を知る

ファストファッションとは、
毎年異なるデザインのコレクションを出して回転を早くし、
価格を抑えたファッションです。

昔は品質が良く高価、だけど長持ちする衣類を手入れして大切に着たものですが、
現在は、例えばT-シャツなら数百円でも買えるようになりました。

このような安い服は、
数回洗濯しただけで傷んでしまって着れなくなり、
使い捨てに近い使い方をされます。

こうしたファストファッション人気の高まりは、
残念ながらSDGsの目標達成から遠ざかっていると言わざるをえません。

ファストファッションが社会や環境にどのような影響を与えているか
考えてみましょう。

社会面への影響

衣服のコストを下げると、
アパレル産業労働者の労働条件が悪くなります。

大量の商品を生産するために、低賃金で長時間労働を余儀なくされ、
従業員の健康被害も招いてしまいます。

環境面への影響

染色工程で化学物質が流れ出すことによる水質汚染、
大量の水の消費、化学物質放出による大気汚染、
大量の廃棄物
など、

環境に与える負荷はとても大きいものです。


安くて流行のデザインの衣類はお財布に優しく、
確かに魅力的です。

ファストファッションを利用したことがない人は、
ほとんどいないのではないでしょうか。

しかし、安くて便利であっても、
こうした社会面、環境面への負荷を正しく認識し、
これからの行動を変えていく必要があります。

次々に新しい服を買うよりも、
レンタルしたり、シェアしたり、
流行を追わないデザインで質の良いものを選ぶなど、
服を長く、大切に着ること選択してみてはいかがでしょうか。


企業は消費者が求めるものを製造します。

私たち1人1人が何を選び、購入するか。

その行動が、
社会全体の行動を変えるきっかけになるとは思いませんか。

次のページでは、
エコな消費をするために役立つ、認証マークについて解説します。