Lesson5-2 SDG×ビジネスの基礎②

ビジネスでSDGsに取り組むべき理由

このレッスンでは、中小企業のビジネスに、
SDGs対策が必要な理由を考えてみましょう。

SDGsで経営の棚卸しとビジネスのヒントを得る

SDGsの目標を参照して、
企業は経営の棚卸しをすることができます。

SDGsの目標とターゲットを分析し、
自社のビジネスと関係があるものを洗い出しましょう。

SDGsで提示されている目標の中に、
これまで多くの中小企業が把握できていなかった、
経営の課題を見つけることができます。

例えば目標12「つくる責任、つかう責任」の中のターゲットでは、
「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、
廃棄物の発生を大幅に削減する」

とあります。

自社製品による廃棄物を減らす取り組みをしてこなかったのなら、
これから取り組むべきなのです。

このように、自社のビジネスと照らし合わせて、
SDGsの目標達成に貢献できている活動と、
そうでない活動を整理します。

まだSDGsの目標に貢献できていない場合は、
今後のビジネスのヒントとなり、
ESG問題にも対応することができます。

SDGsは共通言語に

SDGsはビジネスの世界で共通言語となりつつありますが、
ビジネスでのSDGs対策は、
大企業にのみ求められていると思われがちです。

しかし、大企業がSDGsに沿った製品やサービスをつくるということは、
取引のある中小企業もSDGs対策をせざるをえないのです。

今後、ますますSDGsは企業取引の条件となることが多くなるでしょう。

またSDGs目標達成への取り組みについては、
社外から説明を求められる機会も増えていきます。

これからはSDGsへの取り組みは、
中小企業においても不可避であると考えた方が良いでしょう。

サプライチェーン上で起こる問題

アパレル大手に見られるように、
大手企業の製品やサービスは国をまたいだ分業制となっています。

豊富な労働力と低コストを求めて、
途上国の工場で商品を製造しています。

これまで企業はサプライチェーン上において、
さまざまな人権侵害や環境破壊をしてきました。

途上国における事故や人権侵害が世界中に知られると、
社会的責任が大きい大企業は、
サプライチェーン全体で「環境保全」「労働環境の改善」に
配慮せざるをえなくなりました。

人権問題

人権問題では特に以下のような課題があります。

  • カカオやコーヒーを栽培する現場での強制労働、児童労働
  • アパレル、電子機器の委託工場での強制労働
  • 外国人実習生に対する差別問題 など

環境問題

環境問題では以下のような課題があります。

  • パーム油などを栽培するための熱帯雨林伐採
  • 原材料工場からの水質汚染
  • 海産物の乱獲 など

今までは以上のような人権問題、環境破壊が、
サプライチェーン上で起こっていました。

これからはサプライチェーンの川上から川下までを担う企業それぞれが連携して、
SDGsの課題に取り組む必要があります。

つまり大企業だけでなく、
サプライチェーン上で関わる企業も
SDGs対策が求められるということです。

エシカル消費の波

これまでは、商品やサービスがどこでどのように作られているか
考える消費者はあまりいませんでした。

しかし、環境や人権への意識の高まりもあり、
環境問題に配慮されていない商品や、

児童労働や強制労働をさせている商品を、
「買わない」という消費者が増えてきています。

エシカル消費はこれ以外にも、

  • 寄付付きの商品を買う
  • 被災地の特産品を買う
  • 地元の商品を買う

といった方法もあります。

企業がSDGs問題に取り組んでいるのか、
消費者からの関心も高まっていると言えるでしょう。


SDGsに取り組むことは、
企業の存続にもつながること、
そして時代の潮流でもあることが理解できたのではないでしょうか。

次のページでは、
SDGs実践に入る前の準備について学習しましょう。