
SDGsの実践に入る前に、
まずはこれまでの企業のあり方をしっかり認識し、
そしてこれからの企業の存続と成長のために、
マインドセットを変えていく必要があります。
このページでは企業価値のあり方や職場環境にフォーカスし、
解説していきます。
これまでの常識は常識ではなくなる
企業価値のあり方
企業の価値といえば、これまでは経済的価値が重要でした。
経済的価値とは、現金、不動産、株価などの、
金銭を評価する価値で、
取引のある顧客などから評価されるものです。
もちろん、営利組織である企業にとって、
経済的価値は重要となります。
しかし、企業の価値は経済的価値だけではありません。
もう1つ重要な「社会的価値」があります。
社会的価値は、従業員や地域住民など、
さまざまなステークホルダーが評価する価値です。
働いてくれる社員がいるからこそ
製品やサービスを提供することができるので、
社員のことを大切にし、社員から評価されなければなりません。
地域住民との共生を考えなければ、
その場所での経営も難しくなるでしょう。
顧客の利益のみを追求する経済価値だけを追い求めては、
持続可能なビジネスは不可能となります。
経済的価値と社会的価値。
この2つを合わせて企業の価値であると覚えておきましょう。
過去を過信しない
長く経営している会社は、
これまで培ってきた経営スタイルや知識などが
経営資源となっています。
これはさまざまなことを繰り返すうちに、
「成功体験」としてストックされるものですが、
長くビジネスを続けているとそれ以外を試さなくなっていきます。
これまではそれで「成功」してきたとしても、
ビジネス環境は日々変化していきますし、
SDGsへの対応が社会から求められるようになった今、
経営を取り巻く風潮は決して一定ではありません。
「これまではうまくいったのだから、
これからも同じようにすればうまくいく」
という思い込みは、変化への対応を妨げますし、
リスク対策もおろそかになってしまいます。
コロナ禍にビジネス概念が180°変わってしまったことは、
記憶に新しいでしょう。
こうした問題にすぐに対応できるように、
柔軟な姿勢が重要となります。
職場環境を見直す

人が働くのは給料だけのため?
人は生活のために、お金が必要です。
だからこそ多くの人は「会社で働く」という選択をして、
お給料をもらって仕事をします。
お金はもちろん大切ですが、
人が会社で働く理由はそれだけではありません。
お金だけでよければ、どんな仕事でも良いわけですが、
今の会社を選択して働いているわけです。
入社するときには、給料の金額だけでなく、
「人のためになるか」「自分のキャリア形成に役立つか」
などを確認しているはずです。
それは一般的には「やりがい」と言われるものです。
多くの経営者は、「お金さえ払えば人は働く」
「給料を支払っているのだから、その分働け」
といった考えをいまだに持っているかもしれません。
そういった価値観のもとでは、
社員はやりがいを失い、モチベーションも下がり、
その結果、パフォーマンスが低下します。
社員は貴重な経営資源の1つであることを忘れずに、
1人1人を尊重し、適切な報酬はもちろんのこと、
「やりがい」や「働きやすさ」も提供する姿勢が大切です。
休みのあり方
日本は特に、「会社を休むこと」に対して厳しい価値観のある国です。
一昔前は、多少の発熱なら休まずに働くというのも、
一般的だったように思います。
男性の育休もまだまだ取得しづらい雰囲気がありますし、
「子どもが風邪をひいたから」という理由でも、
休みづらい会社が多いのではないでしょうか。
人はそれぞれ、さまざまな背景を抱えています。
小さな子どもを抱えた共働きも多いですし、
看護が必要な家族がいる場合も、
それ以外にもあらゆる状況があるでしょう。
こうした1人1人の背景を、
企業はもっと理解して寄り添い、
休みやすい雰囲気をつくるなど、
働きやすい環境を整える必要があります。
最近では給料や昇進などよりも、
プライベートな時間が取りやすい会社を選択する人も増えてきています。
「休むのは甘えである」という古い価値観を持っていると、
良い人材の確保は難しくなるでしょう。

男性中心主義からの脱却
日本ではいまだに多くの企業で、
経営層や管理職が男性で占められています
これはやはり、「女性は結婚や出産で辞めてしまうから、
評価をしても仕方がない」
という偏見が残っているからに他なりません。
男性と同じように、
女性にも本当は優秀な人材が多くいるにも関わらず、
企業はそうした人材をみすみす逃しているということです。
またこうした男女の不平等は、
ジェンダー差別や母子の貧困といった、
ESG問題を生み出していることにもなります。
企業は自社の成長と存続のためにも、
こうした古い価値観を捨て、
性別に関係なく優秀な人材の確保に努め、
さらに良いパフォーマンスを出せるような環境の整備に努めるべきです。
これまで常識だと思っていたことは、
もう常識ではなくなっています。
- 社会的価値を高める努力をしているか
- 時代に合った経営ができているか
- 社員がやりがいを持って働いているか
- 社員にとって働きやすい環境か
- 性別に関係なく優秀な人材の登用をしているか
これらの項目について、チェックしてみましょう。

