Lesson7-5 SDGs実践の手引き⑤

ステップ5 報告とコミュニケーションを行う

ステップ5では、SDGs実践の進捗状況を社内外へ、
定期的に情報発信していきます。

しかし、情報発信するといっても、
初めてSDGsに取り組む時は、
どのように報告書をまとめたら良いか戸惑うこともあるでしょう。

SDGs実践に積極的に取り組んだ部門や担当者をしっかり評価してもらい、
そして新たな取り組みへの足がかりとするためにも、
このステップはとても重要になります。

逆に情報発信をしなければ、
活動は社内だけのものに留まってしまいます。

そうならないためにもこのページでは、
効果的な報告・情報発信の方法を学んでいきましょう。

情報発信の重要性

SDGsの目標12で設定されているターゲットの中にも、

「特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、
持続可能な取り組みを導入し、
持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する(12.6)」

と記載されています。

社内への定期的な情報発信はSDGsの定着にもつながりますし、
社員のモチベーションの継続・向上にも役立ちます。

また社外への発信は、
ステークホルダーとの関係性を強化し、
企業価値向上にも直結する活動となります。

ESG投資が増加していることを考えても、
外部への発信を定期的に行い、社会貢献や経営の透明性をアピールすることで、
新たなビジネスチャンスやパートナーシップを生み出す
きっかけにもなるでしょう。

情報発信のポイント

ターゲットを明確にする

SDGs実践の状況を発信する時には、
「誰」に向けて発信するのか、しっかりとターゲットを意識しましょう。

中小企業が発信する場合のターゲットは、
主に次の通りとなります。

  • 社員
  • 社員の家族
  • 取引先
  • 金融機関
  • 地域社会

4つのC

GRIと国連グローバル・コンパクトを中心に作成されたガイドラインである、
「SDGsを企業報告に統合するための実践ガイド」には、
報告(情報発信)には”4つのC”を心がけるように記載されています。

これを参照して情報発信の内容を検討してみてください

Concise【簡潔】

優先的に取り組むべき重要な情報に焦点を当て報告しましょう。

情報過多・乱雑な内容にならないよう注意してください。

Consistent【一貫性】

報告から得られたデータの本質的な意味をしっかり理解し、
次に活かせるようにしましょう。

そして、取り組みの経過を
順を追って評価できるようにしておきます。

Current【現在】

過去の出来事ではなく、
最新の実践とその結果を報告しましょう。

そうすることでステークホルダーは、
取り組みを正しく評価することができ、
新たなビジネスチャンスについて検討できます。

Comparable【比較可能】

同業者の取り組みを調査して、
自社の取り組みと比較し、報告しましょう。

そうすることで、あなたの会社の取り組みを
より評価しやすくなります。

また、これまでのパフォーマンスの改善点も見つけやすくなります。

社内発信もしっかり

社内での発信は後回しになってしまいがちかもしれません。

しかし、SDGsを実践しているのは社員で、主役も社員です

取り組み状況をしっかりと発信して、全社的な意識を高めましょう。

全社員が集まる場で発信

規模の大きい会社などは、
全社員が集まる機会はあまりないかもしれません。

全社員が集まる朝礼や経営報告会といった機会を利用して、
SDGsの取り組み状況を発表しましょう。

部門ごとの会議などで発信

上記のような全社員一斉に向けて発信する機会が少ない場合、
部門ごとの集まりで定期的にこまめに発信することは、
重要になります。

メディアで発信

定期的に発行される社内報や、
不定期にも発信できる社内ポータルなどを、
積極的に活用して実践状況を報告していきましょう。


社内でSDGs実践に関するコミュニケーションを積極的に行うことで、
パフォーマンスの向上が期待できたり、
それが記録の蓄積にもなり、
社史として積み重ねていくことが可能となります。


SDG Compassの5つステップについて解説してきました。

ステップ5の報告まできたら、
ステップ2に戻って手順を繰り返し、
経営の中で実践を強化していってください。

次のレッスンでは、SDGs実践を成功に導くポイントについて、
学習していきます。