Lesson7-7 SDGs経営 成功のポイント②

SDGs実践を成功に導くには

経営トップの役割

SDGs実践においては、経営トップの指揮が成功の鍵を握ります。

業務を遂行するのは社員ですが、
経営のトップが関心を示してリーダーシップを発揮しないことには、
社員の士気は高まりません。

SDGs実践に限ったことではありませんが、
組織で新たなチャレンジをする場合、
経営者と社員の価値観の違いやモチベーションの差を埋め、
同じ方向に向かって行動していかなければなりません。

テーマと分担を決めたら終わりではなく、
取り組みを見届け、評価するところまで関与し、
組織に定着するように努めてください。

社外パートナーと協働

Lesson7-4でパートナーシップについて解説しました。

自社だけの知識やノウハウだけでは限界があるので、
社外に協力・協働を持ちかける必要性も出てくるでしょう。

そんな時にはどうしたら良いでしょうか。

まずは相談しよう

SDGs実践に当たっては、
これまで問題としていなかった問題を経営課題にするわけですから、
多くの場合、ノウハウ不足を実感するでしょう。

わからないことがあったり、
実践にあたって資金面や人材不足など何か問題が生じたら、
まずは関連機関や自治体に相談してみましょう。

相談機関の中には、補助金事業を行う団体があるので、
取り組みの手助けとなる可能性もあります。

またこれまで社外との接点がなく、
決めたテーマについて協働しようにもパートナーを見つけられない場合、
こうした機関に相談することで仲介してもらうことができ、
協働のきっかけづくりにもなります。

自社だけの力よりも、自治体・関連機関・NPO・同業他社・異業種といった、
さまざまな団体と協働で推進した方が、
SDGsの活動は広がっていくでしょう。

バックキャスティングで思考する

SDGs実践には、「バックキャスティング」が効果的です。

バック・キャスティング手法とは、手に入れたい未来のために、
今やるべきことを考える手法のことです。

例えば就職活動の時、まずは入社したい会社を決めて、
必要な資格試験を取得したり、英語が必要なら勉強して準備し、
面接に臨んだ人も多いと思います。

これがバックキャスティングです。

バックキャスティングは今の能力や過去の経験は考慮せず、
未来の到達点に向けて準備をしていきます。

反対の考え方は「フォアキャスティング」で、
今現在の能力や社会状況を考慮して、未来を考えることです。

SDGsでは17の目標がすでに定められており、
しかも中長期的な戦略なので、
バックキャスティング手法がとても有効です。

決まった未来(ゴール)があり、
そこに到達するためには今何をすべきか考えて行動するため、
たとえプロセスの途中で問題が起こったとしても、
解決するための革新的なアイデアが生まれやすいのが特徴です。

イノベーションの創出

SDGs経営を成功させるための重要なポイントとして、
「イノベーションの創出」があげられます。

言い換えれば、社会から期待されているイノベーションを理解し、
SDGsを利用してそれを実現していくということです。

「イノベーション」と言うと、
革新的発明=これまでになかったような製品を生み出す
というイメージですが、それだけではなく、
実際にはさまざまなイノベーションが存在しています。

「イノベーションの父」と呼ばれるヨーゼフ・シュンペーターは、
イノベーションを以下の5種類に分類しています。

プロダクト・イノベーション革新的な製品やサービスを作ること。スマホ、電気自動車など
プロセス・イノベーション新たな生産プロセスを生み出し導入すること。トヨタのかんばん方式など
マーケット・イノベーション新たな市場に参入し、新規顧客・新規販売先を開拓すること。スマホのゲームアプリ、男性化粧品の展開、異業種でビジネスを始めることもこれに該当
サプライチェーン・イノベーション仕入から販売までのサプライチェーン上のプロセスで、例えば共有ルートや配送方法などを新しくし、コストダウンや新たな価値を生み出すことモバイルオーダーの導入、国内製造→中国製造など
オルガニゼーション・イノベーションイノベーションを発信しやすい環境をつくること。組織変革によってイノベーションを起こすこと。カリスマ経営者の登用など

上記の5つのイノベーションを参照して、
製品や技術といったイノベーションだけではなく、
自社の活動の中でどのイノベーションが創出できるか、
考えてみましょう。


Lesson7では、ビジネスシーンでのSDGs実践について
学習をしてきました。

SDG Compassのステップとともに、
このレッスンで学んだ成功させるためのポイントを理解して、
自社での取り組みに役立ててください。

次のレッスンからは、SDGsのリスク予防について解説します。