
前回までのレッスンでは、SDGs実践のメリットや、
具体的な実践方法について学習してきました。
これからの企業はSDGsの取り組みをしないことは
リスクにもなり得ることはすでに解説しましたが、
取り組みの中でリスクが発生することもあります。
Lesson8では、起こりうるリスクを知り、
どのような対策をしていくか解説していきます。
このレッスンでは、SDGsウォッシュについて学びましょう。
SDGsウォッシュを防ぐ
SDGsウォッシュとは?
「SDGsウォッシュ」は、「グリーンウォッシュ」から派生した言葉です。
グリーンウォッシュとは、
環境問題への取り組みをおこなっていると見せかけて、
イメージアップのために商品やサービスの広告などに環境への配慮を謳い、
消費者を欺く行為のことを言います。
つまりSDGsウォッシュは、
「目標達成に向け取り組んでいます」とアピールしているにも関わらず、
実態が伴っておらず見せかけだけのことを意味します。
SDGsウォッシュの具体例
具体的には次のようなことを「SDGsウォッシュ」と言います。
- SDGsへの取り組みをホームページなどで謳いながら、
実際には行動が伴っていない(取り組み実績がない)。 - 環境に配慮した商品・サービスだとPRしながら、
実は環境汚染をしている。 - 過去や現在の活動を、無理やりSDGsに結びつけ、
過大にアピールしている。 - SDGsには取り組んでいるものの、
別の側面ではESG問題が発生している。
例)環境問題には配慮しているが、
サプライチェーン上で長時間労働が行われていたり、
適切な報酬が支払われていない。
このように、SDGsに取り組んでいると言いながら取り組んでいない、
取り組んではいるが別の問題を起こしている、
などがSDGsウォッシュになります。
SDGsウォッシュのリスク
SDGsウォッシュが明るみに出ると社会からの信頼を失い、
経営リスクになります。
どのようなリスクがあるか考えてみましょう。
- SNSで情報拡散
- 不買運動により、売上低下
- 取引先から契約を断られる
- ステークホルダーの信頼を失う
- ESG投融資の候補から外され、資金調達できなくなる
- 社員の士気低下
情報が一瞬で拡散してしまう現代では、
企業イメージの低下は消費者ばかりか、
取引先、金融機関にまで広がりかねません。

SDGsウォッシュを予防するには
SDGs目標達成は、社会で一丸となって取り組むべき課題です。
ですからSDGsウォッシュの予防は、
SDGs実践に対して偽りなく、誠心誠意取り組む姿勢が基本になります。
「そんなことか」と思うかもしれませんか、
人として、会社として、真っ当であることが重要なのです。
具体的な予防としては次のポイントを押さえておきましょう。
- SDGsの重要性を、全社員で学習する
- 経営トップがSDGs推進の指揮を取り、積極的に関与する
- SDGs取り組みの内容を経営計画などに入れる
- 経営状況に照らし合わせた合理的、かつ妥当なKPIを設定する
- 取り組みを評価できる環境をつくる
- 社内のESG問題に対処する
上記で記した項目の多くは、
Lesson7で学習したSDG COMPASSを確実に実践すれば
予防できる内容です。
もう一度しっかり復習しておきましょう。
社内のESG問題に対処する
SDGsウォッシュを予防するには、
自社の日頃の活動に注意することが重要です。
社内のESG問題には、労災隠しのように法令で禁止されているものや、
ハラスメント対策や職場環境改善といったものなど、さまざまです。
Lesson6-3で、ESG問題のヒアリングについて学びましたが、
リサーチ結果をもとに抽出したESG問題に対しては、
社内でルール化が必要です。
ルール化した後、異動などでメンバーが交代しても引き継げるよう、
定期的にルールを発信して周知させましょう。

社会から信頼される経営を
社内のESG問題の抑制とともに、
社外からも信頼される経営活動を心がけましょう。
例えば、ビジネスはお互いに利益が得られるような関係でなくてはなりません。
取引時に相手の利益に配慮していますか?
取引先の利益を搾取するような取引は健全ではありませんし、
相手の不満も募ります。
信頼獲得のためにも、
社外への配慮は怠らないようにしましょう。
次のページでも、SDGsのリスク予防について解説します。

