
前回のレッスンでは、SDGsのリスク予防として、
SDGsウォッシュについて学習をしました。
このレッスンではリスク予防の続きとして、
「社員を大切にすること」と「コミュニケーション」について解説していきます。
社員を大切に
社員が働く環境を整える
人材は貴重な経営資源です。
社員がいるからこそ事業活動が行えるのは、言うまでもありません。
SDGsの指揮を取るのはトップの仕事ですが、
実際に取り組むのは社員になります。
社員にやりがいを持って業務に当たってもらうためにも、
今一度、下記のポイントを見て待遇を見直してみましょう。
賃金は適切か
経済的に安定しないと業務にも集中できないので、
賃金の適切さは社員のやりがいにも直結する重要なポイントです。
無償労働をさせていないか
サービス残業の常態化などはコンプライアンス問題となりますので、
そのようなことが起こっていないか、
部門ごとにしっかりチェックしましょう。
経費を負担させていないか
社員の経費負担については、
会社が把握できていないこともあるかもしれません。
例えば新型コロナウイルスのパンデミック以降、
多くの会社ではテレワークが導入されました。

家で仕事をするとなると、
電気代が増えたり、新たな備品を調達しなければならないこともあります。
そうした経費は、会社によっては経費精算するのが難しい場合もあります。
ヒアリングなどによって、
そうしたことが起こっていないか確認しましょう。
たとえSDGsを実践していても、
労務管理がきちんとできていない企業は
社会的制裁を受けるリスクがあります。
持続可能な会社経営を行うためにも、
社員が気持ちよく働ける環境を整えてください。
コミュニケーションは慎重に
不祥事発生時の対応
ESG問題で抑制できなかった課題は、
「不祥事」として発覚してしまうことがあります。
現代はSNSなどであっという間に情報が拡散されます。
拡散される情報は誇張されたり、不正確だったりするので、
企業価値を損なうリスクも出てきます。
不祥事は隠蔽せず、
発生してしまった時点で分かっている事実を、
自社のホームページなどで早急に公表してください。
また調査の結果「自分の会社は悪くないのではないか」
と思えるような場合も、
不祥事として発生してしまっている以上、
100%悪くないとは言い切れません。
「うちは全く悪くない」という態度は、
かえって社会への反感を買います。
不祥事発生時は特に、
謙虚な態度でコミュニケーションを取るように心がけましょう。
情報発信は誠実か

Lesson7-5では、SDGs実践の情報発信の重要性について学習しましたね。
SDGsの取り組みを進め実績を重ねた場合、
情報発信は企業価値の向上にもつながります。
しかし経営活動では、良いことばかりが起こるわけでもありません。
思ったような結果が出ないこともあります。
SDGs取り組みテーマの実績は、
自社に都合が悪いことであっても、
隠さずに発信した方が良いこともあります。
良い結果ばかりを公表する会社は、
どこか不自然さを感じてしまうと思いませんか。
結果があまり良くないテーマについては正直にそれを発信し、
今後の対応について検討して、それを公表しても良いでしょう。
SDGs取り組みの状況は、公表することが推奨されていますが、
もちろん義務ではありません。
「何を公表するか」は難しい選択です。
ネガティブな結果であっても正直に発信することは、
決して悪いことばかりではなく、
そうした誠実な態度はかえって信用につながるケースもあります。
社内で議論し検討しましょう。
SDGsのリスク予防について、2回にわたって学習してきました。
可能性のあるリスクについてあらかじめ想定しておくことで
予防することができますし、
たとえ問題が起こってしまっても、
慌てずに対応することができます。
今回学習したリスク以外にも、
各企業にはそれぞれのリスクがあると思いますので、
一度どのようなリスクがあるか社内で話し合ってみても良いでしょう。
Lesson9では、SDGsのビジネスアイデアにはどのようなものがあるか、
見ていきましょう。

