
歴史からSDGsを考える
なぜこれほどまでにSDGsは注目されているのでしょうか。
そこで、まずはこれまでの社会の歴史を振り返ってみましょう。
| 年代/時代 | 説明 |
| 江戸時代(17世紀) | 人間が生活するためには、まずは食料が必要。 農産物を栽培し、家畜を飼育する農業社会が始まる。 |
| 18世紀半ば | 産業革命が起こり、農業から工業へと変遷を遂げる。 |
| 19世紀半ば | 石油の大量開発法が開発され、 石炭から石油へと燃料が代わる。 |
| 1950年代以降 | 工場から排出される煙や廃棄物による大気汚染、 川・海の水質汚染が問題となる。 イタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそくなどの公害病も発生。 |
| 1988年 | トロントで開催されたG7サミットで 「CO2排出量を増やし続けると地球の温暖化は深刻な状況になる」 という報告がなされる。 |
| 1992年 | リオデジャネイロで「地球サミット(環境と開発に関する国際会議)」が開催され、環境保全に配慮しつつ、持続可能な開発を進めることを宣言。 |
「持続可能な開発」とは、
「将来世代のニーズを満たす能力を損なわずに、
現代の世代のニーズを満たす開発」のことです。
このように、産業革命後の経済発展と引き換えに人間は環境を破壊し、
1980年代に入ってようやくその深刻さに気づくことができました。

もしもSDGsが達成できなければどうなる?
上記の通りこれまでの社会は、将来のことを考えずに地球の資源を使い、
環境を破壊してきました。
このまま人間が利益のみを追い求めて開発するならば、
将来的には環境汚染や資源の枯渇が進み、
世界は立ち行かなくなってしまいます。
化石燃料を使い、森林を伐採し、
海にゴミを捨てることを続けていれば、
将来世代は食糧不足や自然災害など、
さまざまな問題に見舞われます。
これらの問題は、たとえ遠い国で起こった問題だとしても、
関係がないわけではありません。
地球の裏側で起こっている環境破壊であっても、
それは地球全体に影響を与える可能性があるからです。
将来の世代を食糧不足、エネルギー不足にさせないために、
現世代は考えて行動すべきなのです。

もしもSDGsの達成が叶わなかった場合、
「環境」面では地球温暖化、自然災害、エネルギー問題が深刻になるでしょう。
「経済」面では経済格差の拡大、失業率の増加などが問題になります。
「社会」面では、貧困の増加、感染症の流行、差別、
教育機会の不平等といったことが問題になるでしょう。
「SDGsが達成されなければどうなるのか」を具体的にイメージすることで、
SDGsへ取り組むことがどれほど重要かが理解できます。
だからこそ、SDGsがこれほどまでに注目されているのです。
自分たちが背負った負債を将来の子どもたちに背負わせないために、
私たち一人ひとりが、そして全ての企業が、
地球規模で一丸となって活動をしなければならないことは明白です。
「環境を破壊せずに開発なんて、きれいごとだ。そんなことは不可能だ」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、これまで人間は、
「不可能」を「可能」にすることでめざましい進化を遂げてきました。
「きれいごと」と考えるとそこから進むことはできませんが、
「理想を実現するためにはどうしたら良いだろう。自分にできることは何だろう」
と考え続ければ、必ず前進します。
Lesson1ではSDGsの基礎とその重要性について解説をしてきました。
少し「他人ごと」だったSDGsが、
身近な問題に感じられた人も少なくないでしょう。
Lesson2からは、SDGsの17の目標について詳しく学習を進めていきましょう。

